ビレーの朝焼けが、荒れ果てた遺跡の残骸に赤く染まる頃、ラーンはいつものようにイシェを起こしに来た。「起きろ起きろ!今日はいい気配を感じてるんだ!」と、いつも以上に興奮気味だ。イシェは眠い目をこすりながら、「またそんな夢でも見たのか?」と呟くと、ラーンの寝ぐせの悪い髪を引っ張った。
「夢じゃないって!あの遺跡の奥深くで何かが…融合してるような気配を感じたんだ!」ラーンは興奮気味に説明する。イシェは彼の熱気に押されて、結局立ち上がる。「よし、わかったわかった。でも今回は慎重に行こうね。最近、ヴォルダンの兵士が目撃されているって聞いたし。」
彼らは小さな荷物を背負い、遺跡へ向かう。道中、ラーンはいつも通り軽快に歌を口ずさみ、イシェは彼の後ろを静かに歩いていた。テルヘルは少し遅れて合流した。「準備はいいか?今日は特に慎重に進もう。」とテルヘルは冷たく言った。彼女はヴォルダンへの復讐のため、遺跡探索にも真剣に取り組んでいた。
遺跡の入口に差し掛かった時、ラーンは一瞬立ち止まった。「何か感じる…異様なエネルギーが…」彼の視線は、奥深くにある巨大な石碑に向けられた。イシェも彼の様子を見て、緊張した面持ちになった。
石碑には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように脈打つような光を放っていた。テルヘルは石碑の近くの壁に書かれた文字を読み解こうとするが、古代語で書かれており意味不明だった。「これは…何か特別な場所だ。」と彼女は呟いた。
ラーンは石碑に手を伸ばそうとした瞬間、突然激しい風が吹き荒れ始めた。遺跡の地面は激しく揺れ、石碑からはより強い光が放たれた。三人は目を細めて光を見つめると、石碑から複数の光が飛び出し、融合しながら一つになった。その光は巨大な球となり、空高く舞い上がった。
「何だあの光…!」ラーンは驚愕の声を上げた。イシェは恐怖を感じながら、テルヘルに「何か分かるのか?」と尋ねた。「…私は…。」テルヘルは言葉を詰まらせた。彼女はかつてヴォルダンで見た光景と酷似していることに気づき、激しい動揺を覚えた。
融合した光が空から降り注ぐ中、三人は遺跡から必死に逃げ出した。彼らの背後には、崩壊する遺跡と、融合現象の謎が残されていた。