ラーンが巨大な石の扉をこじ開ける。埃っぽい空気が吹き出してきて、イシェは咳き込んだ。
「よし、ここだ!」
ラーンの笑顔が眩しい。いつも通り計画性なく、遺跡内部の地図も確認せず、ただ直感で進むタイプだ。イシェはため息をついた。「ラーン、ここは一体どこなの? この遺跡、地図にも載ってないわよ」
「さあ、探検だ!きっと大穴が見つかるぞ!」
イシェは仕方なく剣を構えた。テルヘルは背後から二人を見下ろすようにして歩いてくる。彼女の鋭い視線に、イシェは緊張した。
「この遺跡…何かを感じますね」
テルヘルは呟いた。「まるで…蝕まれたような」
扉の向こうは広大な空間だった。壁一面には奇妙な模様が刻まれており、不気味な光を放っている。ラーンは興奮気味にその模様を指さす。
「これは!見たことない記号だ!」
イシェは不安を感じた。この遺跡から何か邪悪なものが溢れ出るかのような、そんな予感がするのだ。
「気をつけろ…」
イシェの言葉は風でかき消された。ラーンが先に進むと、床に埋め込まれた石版を踏んでしまった。その瞬間、壁の模様が激しく光り、部屋全体を包み込んだ。
「うわああ!」
ラーンの叫び声だけが響き渡る。イシェは目を覆った。そして、ゆっくりと目を開けると、そこには信じられない光景が広がっていた…。