「おい、イシェ、これ何だ?」ラーンが興奮気味に、石版を掲げた。薄暗い遺跡の奥深くで、彼らの頭上の蛍光灯が石版の表面を青白く照らし出している。
「よくわからん。呪文みたいだけど…」イシェは眉間に皺を寄せながら石版に近づき、指で文字を追いかけるように読み解こうとした。
「ほら、見てみろ!『禁断の知識』って書いてあるぞ!」ラーンは興奮を抑えきれず、石版をイシェから奪い取った。「これで俺たち、大穴を開けるぞ!」
イシェはため息をついた。「ラーン、またそんな…」
その時、後ろから冷たく静かな声が響いた。「その石版、私に渡して頂戴ませんか?」
振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女の目は鋭く、石版に注がれた蛍光灯の光を反射するように輝いていた。
「え?なんで?」ラーンは戸惑いながら石版を握りしめた。
「それは…」テルヘルはゆっくりと口を開き、その言葉はまるで氷のように冷たかった。「あの石版には、ヴォルダンが欲しがっているものに関する情報が刻まれているからです。」