「おいラーン、今回はあの蛇行する通路だな。あの時イシェが言ってた迷宮みたいな場所じゃないのか？」テルヘルが地図を広げながら言った。ラーンの顔には少しばかりの不安の色が浮かぶ。「ああ、あれか。確かに複雑だったな。でも、イシェが言うように、あの奥に眠ってるっていうのは古代の宝庫なんだろ？ それなら苦労も報われるぜ！」ラーンはいつものように豪快に笑った。イシェは地図を覗き込みながら、小さくため息をついた。「宝庫かどうかはわからないけど、あの迷路のような通路で迷子になる可能性は高いわね。特にラーンの場合」
遺跡の入り口では、ラーンが興奮気味に巨大な石扉を押し開けようとした。「よし、行くぞ！」彼の後ろからイシェとテルヘルが続いた。しかし、通路に入るとすぐに、視界は暗闇に包まれた。わずかに差し込む光は、壁の上を蛇行する影のように動き、不気味な雰囲気を醸し出した。
「このあたりで迷子になった冒険者たちの話を聞いたことがある」イシェが呟いた。「道順を記した石碑があったはずなのに…」ラーンは不安げに周囲を見回しながら歩を進めた。しかし、通路はまるで蛇のように蛇行し、進むにつれて方向感覚を失わせていくようだった。
「何か変だぞ…」「そうだよね…」イシェとラーンの声は不安に染まっていた。テルヘルだけが冷静さを保ち、地図を頼りに進路を探そうとしたが、迷宮のような構造に翻弄され、次第に混乱が増していった。
「ここだ！」テルヘルが突然叫んだ。彼女の指さす先には、壁に埋め込まれた小さな石碑があった。石碑には複雑な紋様と、かすかに見える文字が刻まれていた。「これは…古代の言語だ。もしかしたら、この遺跡の解明の鍵になるかもしれない」イシェは興奮気味に言った。
しかし、その瞬間、背後から不気味な音が響き渡った。影が壁に映り込み、蛇のようにうねりながらゆっくりと近づいてくる。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせ、恐怖で言葉を失った。
「行くぞ！」テルヘルは剣を抜き、影に向かって立ち向かった。彼女の瞳には、復讐の炎が燃えていた。