「あの遺跡、また行くのか?」イシェがため息をつく。「あの日以来、足がすくむんだ。」ラーンは陽気に笑い飛ばした。「そんな!あの時は運が悪かっただけだ。今回は必ず大穴が見つかる!」
ビレーの酒場で、テルヘルは冷えた酒を傾けながら、地図を広げた。「あの遺跡には、ヴォルダンの軍が何かを隠している。私はそれを奪い返す。」彼女の目は冷たい炎を燃やしていた。イシェは背筋が凍った。「また危険な話か…」ラーンの顔に興奮の色が浮かぶ。「よし、行こう!大穴が見つかるかもしれないぞ!」
遺跡の入り口は崩れ落ち、獣の骨が散らばっていた。かつて人々が住んでいた痕跡が残る場所だった。イシェは足取りを重くし、ラーンが先導するように進むと、テルヘルが後をついてきた。
遺跡内は薄暗い。石畳の上には血の跡が乾き、壁には奇妙な呪文が刻まれていた。イシェは背筋に寒気が走った。「ここは…」と呟くと、ラーンの声が響いた。「何かあったぞ!」
奥深くで、巨大な扉が開いていた。扉の前には、ヴォルダンの軍の紋章が描かれていた。テルヘルは息を呑んだ。「ここだ。」扉を開けると、広間が広がっていた。そこには、山のような金貨と宝石が積まれていた。だが、その中心には、何百体もの遺体が積み重なっていた。
イシェは目を背けた。「これは…」ラーンは言葉を失い、テルヘルは静かに拳を握りしめた。その場に立ち尽くす三人。遺跡に漂う死の臭いは、過去の虐殺を物語っていた。