ラーンが巨大な石扉をこじ開けると、埃っぽい空気が吹き込んできた。イシェは咳き込みながら懐中電灯を灯した。「ここが遺跡の奥殿か…」
「うむ、噂に聞く通りだ。宝の山が眠っているはずだぞ！」ラーンは興奮気味に言った。しかしイシェは眉間に皺を寄せた。「何かおかしい…この静けさ。罠の可能性もある」
その時、扉の影から黒い影が飛び出して来た。テルヘルが鋭い眼光でラーンを睨みつけた。「遅すぎる。お前たちは邪魔だ」
「テルヘル！？何をする気だ？」ラーンの問いかけに、テルヘルは冷酷な笑みを浮かべた。「私はこの遺跡の真の目的を手に入れる。お前たちには関係ない」
イシェがテルヘルに剣を向けた。「待て！何が目的だ？なぜ私たちをここに連れてきたのか！」
テルヘルはゆっくりと答え始めた。「この遺跡には、ヴォルダンを滅ぼす力となる遺物がある。私はそれを手に入れ、復讐を果たすのだ」
ラーンの表情が曇った。「復讐…？」
テルヘルは剣を抜いてラーンに迫り、「お前たちは邪魔だと言っただろう？排除する必要がある」と冷たく言った。イシェはラーンを庇い、テルヘルの攻撃をかわそうとした。
その時、遺跡の奥から不気味な声が響き渡り、地面が激しく揺れた。石塵が舞い上がり、三人の視界を遮った。「何だ…これは…！」ラーンの言葉が途切れると、巨大な影が崩れ落ちる天井から姿を現した。
テルヘルは一瞬目を丸くし、恐れを感じた様子を見せた。それは、遺跡の守護者と呼ばれる恐ろしい怪物だった。その目は赤く燃え盛る炎のように、三人に向けられていた。