「おいラーン、あの石碑、何か書いてあるぞ!」イシェの声が響き渡った。ラーンの視線は、崩れかけた壁際に立つ石碑へと向けられた。薄暗い遺跡内部に差し込むわずかな光で、碑文の文字がぼんやりと浮かび上がっていた。「何だこれは…?」ラーンが近づくと、イシェは眉をひそめた。「古代語みたいだな。解読できるかと思ったけど…」
「ま、いいや。そんな石碑よりも、こっちの方が重要だろ!」ラーンは興奮気味に宝箱を指差した。テルヘルは静かに頷き、宝箱の鍵穴に小さな金色のキーを差し込んだ。数秒後、鍵が外れ、宝箱が開かれた。中からは、輝く青い宝石と、見慣れない金属製の筒が姿を現した。「これは…!」イシェが声を上げる前に、テルヘルは筒を手に取り、慎重に開けた。
筒の中から出てきたのは、小さな水晶の球だった。球体はわずかに光り、まるで生きているかのように脈打っているようだった。「なんだこれは…」ラーンの言葉は途絶えた。突然、球体が発光し、強烈な光が遺跡全体を包んだ。 blinding light. そして、光が消えた時、そこにいたのは、見覚えのない光景だった。
崩れかけた壁は修復され、石碑には鮮やかな絵が刻まれていた。そして、彼らの前に、かつてこの遺跡にいた人々の姿があった。彼らはまるで生きているかのように動き、話していた。イシェは目を丸くし、ラーンは言葉を失った。テルヘルは静かに、しかし興奮した様子で言った。「蘇り…ついに蘇らせることができた…」
その瞬間、ラーンの胸を締め付けるような痛みを感じた。彼は振り返ると、自分の姿がぼんやりと歪んで見えた。「おい…何だこれは?」ラーンの声は震えていた。イシェも苦しそうに顔をゆがめた。テルヘルは冷静さを装いながらも、わずかに不安げな表情を見せた。蘇りは、彼らを待っていた新たな世界への入り口だったのかもしれない。しかし、その代償は何なのか…。