ラーンの大 hammer が石壁を叩き砕き、埃が舞う中、イシェが慎重に奥の空間を覗き込んだ。「何かあるみたいね。」彼女の静かな声は、いつもより少し高かった。
「よし、見つけたぞ!」ラーンは興奮気味に叫び、テルヘルの方へ振り返った。「どうだ、お前の情報通りだな?」
テルヘルは薄暗い顔で頷きながら、小さな瓶を取り出した。「ここには確かに何かあるはずだ。だが、慎重にならねばならぬ。」彼女は瓶の蓋を開け、中から白く輝く粉末を少し手に取った。「これを使うと、遺跡の奥深くまで進むことができるだろう。」
イシェは眉間に皺を寄せた。「あれを使うのは last resort だろ? あれを使うと… 」
「時間が無い。ヴォルダンが動き出す前に、我々はあの秘宝を手に入れる必要がある。」テルヘルの目は冷たかった。「それに、お前たちには危険を冒すだけの報酬を払っているはずだ。」
イシェはため息をつき、ラーンに視線を向けた。ラーンの顔には、いつものように無邪気な笑顔が広がっていた。「よし、やろうぜ!大穴が見つかる予感がする!」
ラーンは興奮気味に叫び、テルヘルが粉末を地面に撒いた瞬間、空気が重くなり始めた。イシェは不吉な予感を抱きながらも、二人が遺跡の奥へ進んでいくのを後ろから見送った。その瞬間、彼女はかすかに甘い香りがしたことに気づいた。それは、どこか懐かしい香りだった。かつて、彼女の故郷で人々が…
「イシェ!早くしろ!」ラーンの声が響いてきた。イシェは一瞬迷いながらも、彼らに追いつくために一歩踏み出した。