「準備はいいか？」テルヘルが鋭い視線でラーンとイシェを見据えた。「今回は大物だぞ。成功すれば、俺たちの生活もガラリと変わる」
ラーンの顔にはいつもの自信に満ちた笑みが浮かんでいた。「任せておけ！今日は必ず何か掘り出すぞ！」イシェは少し不安げに地図を広げた。「あの遺跡は危険だって聞いたことがあるわ。特に地下深くは…」
「心配しすぎだ、イシェ。」ラーンが彼女の肩を叩いた。「テルヘルが言うように、今回は大物だ。リスクに見合うだけの報酬が待っている」
薄暗い遺跡の入り口に立つと、冷たい風が吹き抜けた。ラーンの背筋がゾッとするような感覚を覚えた。いつもよりひんやりとした空気、そして何とも言えない不気味な静けさ。まるで、何かが彼らをじっと見つめているような気がした。
内部は暗く湿っていた。イシェが用意した火の粉が、壁に映る影を揺らめかせた。「ここからは慎重に進もう」テルヘルが低い声で言った。「遺跡の奥にはトラップが仕掛けられている可能性が高い」
彼らは慎重に足を進めていった。崩れかけた石柱や、苔むした壁画が彼らの視界を遮る。時折聞こえる不気味な音は、彼らを緊張状態にさせた。ラーンの手は剣に自然と握りしめられた。
長い通路を進んでいくうちに、ついに巨大な扉が現れた。扉には複雑な模様が刻まれており、まるで生きているかのように脈動しているように見えた。
「ここが最後の試練だ」テルヘルが言った。「この扉を開けば、宝物庫へと続く階段があるはずだ」
ラーンは力を込めて扉を押した。しかし、扉は budge しなかった。イシェが近づいて扉の模様を注意深く観察すると、「これは魔法がかかっているようね…」
その時、突然、床が激しく揺れ始めた。天井から石が崩れ落ち、彼らを襲った。
「逃げろ！」テルヘルが叫んだ。
三人は必死に走り出したが、崩れ落ちる石は容赦なく彼らを追いかけてきた。「ラーン！イシェ！」
テルヘルは振り返ると、ラーンが崩れた壁の下敷きになっているのを見た。彼女は一瞬ためらった後、ラーンの元へと駆け寄った。
「大丈夫か？！」
しかし、ラーンの顔には深い絶望の色が浮かんでいた。「イシェ…逃げろ…」
薄氷の上を歩くような、危険な状況だった。その瞬間、イシェはラーンを助けようとするテルヘルの決意と、自分自身も巻き込まれるかもしれないという恐怖を感じた。そして、彼女は選択を迫られた。