「よし、今日はあの洞窟だ！」
ラーンの豪快な声にイシェは眉をひそめた。「またあの危険な場所？ラーン、あの洞窟は以前にも collapse したことがあるだろう。安全確認もせずに突撃するのはやめろ」。
だがラーンの決意は固かった。「今回は違う！あの奥深くに眠っている遺跡の噂を聞いたんだ。古代の宝庫らしいぞ、イシェ！想像してみて、金貨の山、宝石が…！」
イシェはため息をついた。「そんな夢物語に惑わされて…」 しかし、ラーンの熱意には逆らえず、結局テルヘルと共に洞窟へと足を踏み入れた。
洞窟の内部は暗く湿り気があり、不気味な静けさだった。ラーンは興奮気味に剣を構え、イシェは慎重に足取りを確かめる。テルヘルは後ろから二人を見下ろすように歩きながら、何かを呟いていた。「この遺跡…ヴォルダンと関係があるかもしれない…」
深い洞窟の奥へと進むにつれ、壁面には不思議な文様が刻まれていた。イシェは興味津々で観察しながら、「これは一体何だろう…」と呟く。すると、ラーンが突然歓声を上げた。「見てみろ、イシェ！宝だ！」
ラーンの指さす先には、石棺が置かれていた。金銀の装飾が施され、宝石が埋め込まれた豪華な棺である。
「やったぜ！大穴だ！」
ラーンの興奮を制止するように、テルヘルが冷静に言った。「待て、まだだ。この棺を開ける前に確認しなければならないことがある」
彼女は慎重に棺の周囲を見回し、壁面にある文様と照らし合わせながら何かを探しているようだった。
「この遺跡はヴォルダンと深い繋がりがある…そして、この棺には危険が潜んでいる可能性が高い…」テルヘルはため息をつき、「私はヴォルダンを倒すためにここに来た。だが、この遺跡の謎を解明し、その力を利用する必要もある」
イシェは不安げに言った。「でも、ラーンが言っていたように、本当に宝が手に入ったら…？」
テルヘルは目を鋭くして言った。「宝？もちろん、私も蓄財したい。しかし、それは手段に過ぎない。ヴォルダンを倒すための資金を確保するのだ」
ラーンの興奮も冷めやらぬ中、イシェは三人の間で繰り広げられる思惑に戸惑いを感じながら、遺跡の奥深くへと続く道をゆっくりと歩いていった。