ラーンの大剣が石壁を砕き、埃が立ち込める。イシェは咳き込みながら、「また無駄なことを…」と呟く。だが、ラーンは興奮気味だ。
「ほら見ろ、イシェ！今回は何かあるぞ！この壁の奥には何かが隠されている！」
イシェはため息をつきながらも、ラーンの背後から慎重に石をどかしていく。すると、そこには錆び付いた鉄の箱が現れた。
「なんだこれは…」
イシェが箱を開けると、中には古びた金貨と小さな宝石がぎっしり詰まっていた。ラーンは目を輝かせ、興奮気味にイシェの肩を叩く。
「やった！今回は大漁だ！」
しかし、イシェは冷静に言った。「これだけのものだと、テルヘルには到底及ばないだろう。あの女はもっと大きなものを求めているはずだ」
ラーンの顔色が曇る。「そうか…」
二人は沈黙して宝箱を見つめる。そこに、テルヘルが冷酷な笑みを浮かべて現れた。
「あらあら、お二人とも疲れているようね。今日は私にお任せなさい。この程度の trinket は、私の蓄えには足らないわ」
彼女は箱を軽々と持ち上げ、振り返る。「では、次の目的地へ行きましょう。大穴への道は長く険しいけれど、我々は必ずたどり着けるでしょう」
ラーンの視線が、テルヘルの背中に注がれる。イシェは彼の手の甲に手を置く。二人は互いに頷き合った。彼らはまだ、自分たちの本当の「蓄え」を見つけられずにいたのだ。