ビレーの街並みが茜色に染まる頃、ラーンは汗まみれになりながら、遺跡の奥深くへと足を踏み入れていた。イシェは彼とは対照的に落ち着いて周囲を警戒し、テルヘルは古びた石碑に刻まれた文字を解読しようと真剣な表情で目を細めていた。
「ここだな」
テルヘルがそう告げると、ラーンの胸が高鳴った。彼女の手が示す先には、朽ち果てた石棺が横たわっていた。興奮を抑えきれないラーンは、すぐに棺の蓋を開けようと手を伸ばしたが、イシェが彼を制した。
「ちょっと待てよ。急いで開けるな」
イシェは慎重に棺の周りを確認し、周囲に仕掛けがないかを探った。「何か罠があるかもしれない」と彼女は警告を発する。ラーンの無謀さに呆れながらも、いつも通り彼の安全を第一に考えているのだ。
テルヘルも同意するように頷き、「確かに、遺跡には様々な危険が潜んでいる。慎重に進めるべきだ」と冷静に言った。彼女は、目的達成のためには手段を選ばないタイプだが、仲間の安全は軽視しない。
ラーンの興奮を抑え、イシェが慎重に棺を開けていく。中からは、黄金で輝く装飾を施した小さな箱が取り出された。
「 Jackpot! 」
ラーンは歓声を上げて飛び上がると、箱を抱きしめた。イシェも思わず笑みを浮かべる。「なかなかいいものを見つけ出したわね」とテルヘルも満足げに言った。
日が沈み、街の灯りが揺らめく中、3人はビレーへと戻り始めた。ラーンの興奮冷めやらぬ様子を見て、イシェは小さくため息をついた。
「また大穴を夢見ているんだろうな」
彼女はそう呟きながら、落日に照らされたラーンの後ろ姿を眺めた。彼の無邪気な瞳には、まだ希望と冒険心が溢れていた。イシェは、そんな彼をどこか愛おしく思うと共に、いつまでもこんな風でいてほしいと願うのであった。