「おい、イシェ、あの崩れかかった柱の影見てないか？」ラーンが石畳の上で足踏みし、イシェの方へ振り返った。イシェは眉間に皺を寄せながら遺跡の壁面をくまなく観察していた。「何だ、また宝探しの妄想か？」と呟きながらも、視線は柱に移動した。
「いや、違うんだ。なんか...不自然な感じがするんだよ。ほら、あの影、まるで何かが...落下しそうなんじゃないか？」
イシェはラーンの指さす方向を見つめた。確かに、崩れかけた柱の影は奇妙な形をしていた。まるで巨大な物体の上部が影を落とすように見えた。「まさか...？」とイシェの心の中で一つの不安が芽生えた。
その時、突然、轟音が響き渡った。ラーンの予感は的中した。崩れかけた柱が、激しく音を立てて崩壊し始めたのだ。巨大な石塊は、まるでゆっくりと落下するように、彼らに向かって転がり落ちてきた。
「イシェ、逃げろ！」ラーンは咄嗟にイシェを掴んで地面に伏せた。石塊は僅かに二人の頭上を通過し、激しく埃を巻き上げた。
イシェは心臓が激しく뛰는 것을感じながら、ラーンの背中に強く抱きついていた。恐怖と興奮が同時に襲いかかってきた。「や、 Yahweh...」と呟くしかできなかった。
「大丈夫だ、イシェ。俺が守る！」ラーンはイシェの肩をぎゅっと締め付け、立ち上がった。埃が少し収まり始めた頃、彼の視界に崩れ落ちた柱の奥から何か光るものが映った。それは、巨大な石塊の下敷きになった宝箱だった。
「よしっ！見つけたぞ、大穴！」ラーンの顔には興奮の色が戻っていた。しかし、イシェは彼をじっと見つめ、恐怖よりも深い悲しみを感じていた。この遺跡探索は、彼らにとって本当に「大穴」へと続く道なのかもしれない...と。