日差しが容赦なく照りつける中、ラーンは汗だくになりながら岩盤を削っていた。
「もういい加減にしろよ、ラーン。この暑さじゃ、草いきれも乾ききらない」イシェの声が、背後から冷たく響いた。
ラーンの目の前には、錆び付いた鍵のかかった巨大な扉があった。遺跡探索で何年も一緒に過ごしてきたイシェの言葉に反発したくなる気持ちを抑え込み、ラーンは深く息を吸った。「おいおい、イシェ、あと少しだ。この扉を開ければ、大穴が見つかるかもしれないぞ」
だが、イシェの表情は曇り続けていた。「大穴なんて、ただの夢話だろう。現実を見ろよ、ラーン。この遺跡には何もない」
その時、テルヘルが近づいてきて、鋭い視線で扉を睨んだ。「確かに、この遺跡は古びている。しかし、壁に刻まれた紋章を見る限り、ここには何か隠されているはずだ。諦めるのはまだ早い」
テルヘルの言葉に励まされ、ラーンは再び岩盤を削り始めた。すると、扉の隙間からわずかな光が漏れてきた。
「あれ？何か光ってるぞ！」
ラーンの叫び声に、イシェも駆け寄ってきた。二人が力を合わせて扉を開けると、そこには広大な地下空間が広がっていた。そこには、草いきれが生い茂り、まるで忘れられた神殿のように静寂に包まれていた。
「うわっ…」
ラーンは目を丸くした。イシェは呆然と立ち尽くす。テルヘルは、薄暗い空間を鋭い目でくまなく見渡した。そして、彼女はゆっくりと口を開いた。「ここに何かがある。きっと、大穴につながる鍵がここにあるはずだ」