「よし、今日はあの廃墟跡地だ」
ラーンがそう言うと、イシェはため息をついた。いつも通り、彼は具体的な計画もなく、ただ漠然と遺跡に飛び込むつもりだ。
「またあの辺り？ あそこは危険だって言ってたじゃないか」
「大丈夫、大丈夫。今回は何か見つかる気がするんだ」
ラーンの自信に満ちた声に、イシェは苦笑した。彼はいつもそうだが、結局大穴を掘り当てるという夢だけが先行し、現実的な準備はほとんどしない。
そんな彼らを雇ったテルヘルが静かに口を開いた。
「今回は慎重に進もう。ヴォルダンから持ち出してきた情報によると、あの遺跡には強力な魔物が封印されているらしい」
ラーンの顔色が変わった。いつもは怖いもの知らずだが、魔物に関しては少しだけ用心深い。
「魔物か...じゃあ、念のため準備を整えよう」
イシェがそう言うと、三人は近くの村で必要な道具を買い込んだ。
村の茶店で休憩をとる際、ラーンが目を輝かせた。
「おい、イシェ！ あれ見ろ！」
イシェが視線を向けると、そこには大きな壺に入った、珍しい色の茶葉があった。
「なんだあれ？」
「聞いたことないぞ。店主さんに聞いとこう」
店主から話を聞くうちに、三人はその茶葉が非常に貴重なもので、魔物にも効果があると知った。
「よし！」
ラーンは興奮気味に言った。
「これで魔物も怖くないな！」
イシェは彼の無鉄砲さに呆れたが、どこか安心するような気持ちもあった。
「まあ、念のためだと思って持っていこう」
こうして三人は、貴重な茶葉を携えて遺跡へと向かった。