「おい、イシェ、あの石像、なんか変じゃねぇか？」ラーンが眉間に皺を寄せ、巨大な石像の足元を指差した。イシェは慎重に石像を一周し、剣で軽く石を叩いてみた。「確かに、表面が他の部分と違う…何か塗られているのかもしれない」
テルヘルは石像の顔に視線を向け、鋭い眼光で観察していた。「興味深い。この遺跡、以前から調査されていた記録があるはずだ。資料を調べれば何かヒントになるかもしれない」彼女は落ち着き払った声で言った。ラーンの無謀な行動にいつもイシェが止めに入っているように、テルヘルは冷静さを保ちながら状況を分析する役割を果たしていた。
「待て待て、そんなことより早く宝探さないと日が暮れるぞ！」ラーンは impatience を隠せない様子で言った。彼の目は遺跡の奥深くに潜むと噂される、伝説の財宝に輝いていた。イシェはため息をつき、ラーンの肩を軽く叩いた。「落ち着けよ、ラーン。テルヘルが言うように、記録を調べることが一番の近道だぞ」
「わかったわかった…でも、早く見つけたいんだ！」ラーンはそう言うと、石像の周りを見回し始めた。イシェは彼を静かに見守りながら、心の中でため息をついた。ラーンの行動はいつも計画性なく、危険を招くことも多い。しかし、彼の情熱と明るさは、このチームに欠かせないものだった。
テルヘルは彼らのやり取りを冷静に見つめ、記録から得られた情報をもとに遺跡の構造を分析していた。若者たちの無邪気な行動とは対照的に、彼女は目的達成のためには手段を選ばない覚悟を持っていた。そして、この遺跡が彼女にとって、単なる財宝を求める場所ではないことを、誰も知らない。
夕暮れ時、三人は遺跡の奥深くへと進んでいった。彼らの前に広がるのは、未知なる世界への扉だった。