ラーンの粗雑な剣の扱いが、埃っぽい遺跡の奥深くにある石棺を傷つけた。イシェは眉をひそめながら「またかよ、ラーン!あの棺は一体何世紀も前に作られたものだって言ったじゃないか!」と叱りつけた。
「ああ、ごめんごめん」ラーンは苦笑しながら、石棺に手を伸ばした。「ほら、見てみろよ、イシェ。こんな古い物には宝が隠れてるって話もあるだろ?」
イシェはため息をつきながら、石棺の蓋を開けた。中には金貨や宝石ではなく、古びた巻物が入っていた。ラーンは肩を落とした。「またか...」
「待てよ」テルヘルが巻物を手に取り、真剣な眼差しで読み始めた。「これは...古代語だ。ヴォルダン王朝の記録かもしれない」
「ヴォルダン?」ラーンの顔色が変わった。「あの大国?なんでそんなもの遺跡に...?」
テルヘルの表情は曇っていた。「この記録には...ヴォルダンがかつてこの地に秘めた、ある危険な力について書かれているようだ」彼女はゆっくりと語り始めた。「そして、その力を利用しようと企む者もいるらしい」
イシェは不安げな声を上げた。「そんな危険な物、触っちゃダメよ!ラーン!」
だがラーンの目は輝いていた。若き冒険家の血が騒ぐ。彼は興奮を抑えきれずに言った。「よし、行こう!この力を手に入れてヴォルダンに復讐だ!」
テルヘルは静かに微笑んだ。彼らが望む未来を手に入れるためには、この危険な力が必要なのかもしれない。彼女は彼らを見つめながら、心の中で呟いた。「若さよ...汝の野望が、どれほどの嵐を巻き起こすのか…」