「よし、今日はあの遺跡だな」ラーンが粗末な地図を広げ、指を置いた。イシェは眉間に皺を寄せた。「また危険な場所かい？ 以前のあの崩落現場みたいに、今回は本当に大穴が見つかると思ってるのか？」
ラーンは豪快に笑った。「お前はいつも心配性だな！いつか必ず大穴を見つけるぞ！」と、彼は剣を腰に差しながらビレーを出発した。イシェはため息をつきながら、テルヘルの後ろをついていった。テルヘルは影のように二人を視察する視線で、時折メモ書きをする。
遺跡の入り口付近では、奇妙な花が咲き乱れていた。鮮やかな赤と紫の花びらが、まるで燃えるような光を放っていた。イシェは興味深そうに近づき、そっと触れてみた。「珍しい花だな… どこかで見たことがあるような…」その時、地面が激しく揺れ始めた。ラーンは慌てて剣を抜いた。「何だ！？ 」
崩落する天井から石が降り注ぎ、イシェは慌てて身をかわした。その時、テルヘルが声を上げた。「あの花瓶！ あの赤い花瓶に触れた時、遺跡の防衛システムが起動したのだ！」
イシェは驚愕した。「花瓶…？」振り返ると、崩れゆく遺跡の中に、赤く燃えるような花で飾られた精巧な花瓶が鎮座していた。ラーンは激しく息を切らし、剣を構えた。「よし、この花瓶を破壊すればいいんだろ！ 」
テルヘルは冷静に言った。「待て、ラーン。あの花瓶はただの飾りではない。遺跡の核となるものだ。破壊すると、この遺跡全体が崩壊する危険がある」ラーンの顔色が変わった。イシェは震える声で言った。「じゃあどうすれば…？」
テルヘルは深呼吸をして言った。「あの花瓶を落ち着かせる方法がある。だが、それは非常に危険だ…」