ラーンの鼻息が荒くなった。目の前に広がるのは、かつて誰かが掘ったとみられる巨大な坑道だった。壁には脈打つような光が走っており、その奥底からは低く唸る音が聞こえてくる。
「ここだ、イシェ!きっと大穴があるぞ!」
ラーンは興奮を抑えきれずに剣を構えた。イシェは眉間にしわを寄せながら坑道を見渡した。
「落ち着きなさい、ラーン。ここはまだ見たことのない場所だ。危険かもしれない」
だが、ラーンの目は輝いており、イシェの言葉は届かなかった。彼はすでに坑道の奥へと足を踏み入れていた。イシェはため息をつき、テルヘルに視線を向けた。
テルヘルは冷静な表情で地図を広げ、坑道の構造を分析していた。
「この坑道は、以前にも探索された可能性が高い。しかし、記録にはその後の様子が記されていない。何かがあったのだろう」
彼女は地図に指を置き、慎重に言葉を紡いだ。
「注意深く進もう。ここに何かがあることは間違いない。そして、それは我々の目的達成に繋がるものかもしれない」
ラーンの興奮は伝染し、イシェの心も少しずつ高鳴り始めた。彼らはテルヘルの後を追い、未知の世界へと足を踏み入れた。坑道の奥深くに響く唸る音は、まるで彼らの鼓動と重なり合うように聞こえた。