ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが大きなmugを傾け、イシェに話しかける。「おい、イシェ、今日の遺跡はどうだ?あの奇妙な石碑の近くで何か見つけられるんじゃないか?」
イシェは眉間にしわを寄せて、「ラーン、またそんな無茶な話をするな。あの石碑は何か不気味な臭いがする。あのあたりには近づかないほうが良い。」と警告した。
ラーンの鼻が動いた。「いや、いい匂いがするぞ!土と金属の匂い…ああ、古代の武器の匂いがする!」
イシェはため息をつき、「また無駄な期待をするなよ。それに、テルヘルがそんな危険な場所へ行くわけがない。あの女は安全を第一に考えているだろう。」
その時、扉が開いてテルヘルが入ってきた。「準備はいいか?」と鋭い声で言った。彼女は黒い革の服を着ており、腰には短剣が差してあった。ラーンとイシェは立ち上がり、テルヘルの後ろについて酒場を出た。
夜風が冷たく肌を刺す中、3人はビレーから離れた遺跡へと向かった。道中は暗く、不気味な木々が生い茂り、獣の臭いが漂っていた。イシェは鼻をつまんで苦しそうに言った。「ここは本当に危険だな…何かが不吉な予感しかしない。」
ラーンは軽やかに「大丈夫だ、イシェ!僕に任せろ!」と言いながら、石ころを蹴飛ばして歩き始めた。
テルヘルは後ろから彼らをじっと見つめていた。彼女の目は鋭く、そしてどこか悲しげだった。「あの石碑の近くには何かがある…きっとヴォルダンが隠した秘密だ。」と彼女は心の中で呟いた。
遺跡にたどり着くと、不気味な石碑がそびえ立っていた。石碑からは腐った肉のような悪臭が漂い、ラーンは顔をしかめた。「なんだこの臭いは…」
イシェは「これは…やめておこうよ…何か悪い予感がする…」と引き止めようとしたが、ラーンの好奇心は抑えられなかった。彼は石碑の近くに近づき、手を伸ばした。その時、地面が激しく震え始めた。
石碑から悪臭を放つ黒い煙が噴き出し、空中に奇妙な模様を描いた。ラーンはバランスを崩してよろめき、「ひっ!」と叫んだ。イシェは慌てて彼をつかまえたが、すでに遅かった。黒い煙が二人を包み込んだ瞬間、意識を失ってしまった。
テルヘルは冷静に状況を判断した。「これはヴォルダンの仕業だ…」と彼女は呟き、剣を抜いた。黒い煙の中に飛び込み、ラーンとイシェを探し始めた。