ラーンが遺跡の入り口で、いつもより大きな息を吸い込んだ。イシェが眉間に皺を寄せながら地図を広げ、テルヘルは後ろから二人が背中に影を落とすようにして近付いてきた。
「ここだ。」イシェの声は震えていた。「噂では、この遺跡にはヴォルダンがかつて奪った遺物の一つが眠っているらしい」
ラーンは興奮気味に剣を握りしめ、「よし、行こうぜ!」と叫んだ。テルヘルは冷静に「待て。ここはヴォルダンとの境界に近い。用心が必要だ」と注意した。イシェは頷き、地図を指さして「この遺跡はかつてビレーの自治を守るために建てられたものだ。内部には仕掛けが張り巡らされている可能性が高い」と警告した。
彼らは慎重に遺跡へと足を踏み入れた。暗闇の中、足音だけが響き渡り、緊張感が高まる。ラーンの無計画な行動をイシェが制止し、テルヘルの鋭い観察眼が罠を発見する。三人は互いに助け合いながら、遺跡の奥深くに進んでいった。
そしてついに、彼らは巨大な石扉の前に辿り着いた。扉には複雑な模様が刻まれており、かつての栄華を伺わせる。イシェは「この扉を開けるには、ある種の鍵が必要だ」と呟いた。テルヘルは深く考え込んだ後、「ヴォルダンが奪った遺物の中には、この扉を開ける鍵になるものがあるはずだ」と断言した。
ラーンの顔に興奮の色が浮かんだ。「よし、鍵を見つけ出して扉を開けろ!そして、大穴を手に入れようぜ!」彼の言葉は、単なる財宝への欲求ではなく、ビレーの自治を守るという使命感にも似た熱意を含んでいた。イシェとテルヘルもまた、それぞれの理由でこの遺跡に挑んできたのだ。三人は互いに異なる目標を持ちながらも、この瞬間、共通の目的のために力を合わせることを誓い合った。
扉が開かれる時、彼らの前に広がる未来は、希望と不安で満たされていた。