「おいラーン、本当にここなのか?」イシェが眉間に皺を寄せながら、薄暗い洞窟の奥を見つめた。壁には奇妙な模様が刻まれており、不気味な影が揺らめいていた。
「大丈夫だ、イシェ。あの老人が言うには、ここには古代の武器が隠されているってんだ。大穴になるぞ!」ラーンは目を輝かせながら、錆びた剣を片手に意気揚々と奥へと進んでいった。
イシェはため息をつきながら、ラーンの後を追った。いつも通り、計画性のない行動に呆れていた。だが、彼の無邪気な熱意には、いつしか自分も巻き込まれてしまうような魔力があった。
「ほら、見てくれ!」ラーンが興奮した声で叫んだ。洞窟の奥に、石棺のようなものが鎮座していた。その表面には、複雑な文様が刻まれており、神秘的な光を放っていた。
「これは…!」テルヘルが近づき、石棺の文様をじっくりと観察した。「これはヴォルダン王家の紋章だ。ここに眠っているのは、かつてヴォルダン王に仕えた伝説の剣士のものだろう。」
「伝説の剣士…」イシェは息をのんだ。もし本当にそうなら、その価値は計り知れない。だが、同時に危険も伴うことは明らかだった。
テルヘルは鋭い視線をラーンに向けた。「ラーン、この石棺を開けろ。」
ラーンは少し躊躇したが、テルヘルの冷たい眼光に押され、剣を石棺の蓋に突き立てた。「よし、開けろ!」
しかし、石棺の蓋は budge しなかった。ラーンの力では、 budge しないよう魔法で施されているのかもしれない。イシェが心配そうに言った。「無理かもしれないよ、ラーン。ここは諦めた方がいいんじゃないか?」
だが、ラーンは自分のプライドを傷つけられたように、顔を真っ赤にして力強く石棺を叩き続けた。その時、洞窟の奥から不気味な音が響き渡った。まるで、眠りから覚める者の咆哮のようだった。
「なんだあの音…!」イシェは恐怖で声が震えた。
ラーンの顔も青ざめた。「ひょっとして…?」
その時、石棺の蓋が突然、激しく音を立てて吹き飛ばされた。石棺の中から、黒く禍々しい影が立ち上がり、洞窟全体を暗闇に包んだ。
ラーン、イシェ、テルヘルは息をのんで、その影を見つめた。彼らは、自分がどれほど無謀な行為をしたのかをようやく理解したのだった。この遺跡から脱出できるのか、そして、この影から逃れることができるのか。彼らの運命は、まさに絶望の淵へと突き落とされた。