ラーンが巨大な石門を勢いよく押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは咳払いし、「またしても大げさな entrance だね。」とぼやくが、ラーンの無邪気な笑顔に引っ張られるように、石畳の奥へと足を踏み入れた。
ビレーから離れたこの遺跡は、いつもよりも深い静けさに包まれていた。いつもなら、石の間から脈打つようなエネルギーを感じ取れるはずなのに、今日はどこか空虚な響きだけが残る。テルヘルは眉をひそめながら周囲を警戒し、「何か変だ。」と呟いた。
「変?どうしたんだ?」ラーンが問うと、イシェも首を傾げた。テルヘルは、普段よりも鋭い視線で遺跡の奥へと見据えた。「この遺跡は、何かを待っているかのようだ。」彼女の言葉に、三人は互いに顔を見合わせた。
その時だった。石畳の床から脈打つような赤い光が湧き上がり、空気を震わせた。ラーンの目の前で、石化した怪物がゆっくりと動き出し、咆哮と共に襲いかかってきた。イシェは素早く剣を抜いて応戦するが、その巨体には到底及ばない。
ラーンは剣を構えながら「何だこれは!」と叫ぶ。しかし、テルヘルは冷静に状況を見極めていた。「これは単なる怪物ではない。」彼女の視線は遺跡の奥へと向けられていた。
「この遺跡に眠るものは、今目覚めようとしているようだ。」テルヘルの言葉が、三人の心を氷のように冷やした。脈打つような赤い光は、まるで心臓のように鼓動を上げていく。そして、その中心から、何か巨大なものがゆっくりと姿を現し始めた。