ラーンの大 hineinが、埃っぽい遺跡の入口に響き渡った。「よし、今回は必ず何か見つかるぞ！」彼の興奮を隠せない様子に、イシェは小さくため息をついた。いつも通りの展開だ。遺跡探索を終えてもろくすっぽ何も見つからず、ラーンはまたしても「次は絶対！」と豪語するのだ。
だが、今日は違った。テルヘルが少しだけ表情を変えたのを見逃さなかった。彼女の鋭い視線は、壁の一面に描かれた複雑な紋様を捉えていた。「これは…」彼女は呟きながら、小さな革袋から巻物を取り出した。「この遺跡に関する古い記録があるわ。この紋様は、ある種の起動装置らしい」
イシェは眉をひそめた。「起動装置？何に起動するんだ？」テルヘルは答えずに、慎重に壁の紋様に手を触れた。すると、壁面から低く唸り声が響き、石畳がゆっくりと動き始めた。床の一部が沈み込み、階段が現れるとともに、空気が冷たく湿った匂いに変わった。
「これは…！」ラーンは興奮気味に剣を抜いた。「ついに大穴が見つかるぞ！」イシェは、彼の背後でテルヘルの方をちらりと見た。彼女は少しだけ口角を上げているように見えた。
階段を降りると、そこは広大な地下空間だった。天井から伸びる巨大な柱には、まるで生き物のように脈打つ光が流れている。中央には、複雑な機械装置が鎮座していた。テルヘルは静かに近づき、装置の表面にあるボタンを押した。すると、装置全体が光り輝き、空気が激しく震え始めた。
「これは…！」ラーンの声が途絶えた。空間全体を包み込むように、巨大な影がゆっくりと形作られていく。それは、翼を広げた獣の姿だった。
イシェは背筋がぞっとする感覚に襲われた。テルヘルが何のためにこの遺跡を探していたのか、ようやく理解した。そして、その目的の恐ろしさに言葉を失った。