「よし、今回はあの崩れた塔だ。噂では地下に何かあるらしいぞ」ラーンが、イシェの肩に腕を回し、興奮気味に言った。イシェはラーンの熱意に押されながらも、眉間にしわを寄せた。「また無茶な話をするじゃないか。あの塔は崩落寸前だよ。危険すぎる」
「大丈夫だって!俺が先頭を切って行くから」ラーンはそう言い、Already swordを手に取り、イシェの肘をつき動かした。イシェはため息をつきながら、テルヘルの方を見た。「どうするつもりですか?」
テルヘルは淡々と地図を広げ、「塔の構造と遺跡の出入り口を分析した。危険だが、目的達成には必要だ」と冷静に答えた。ラーンの肘がイシェを突き飛ばし始める前に、イシェは深く息を吸い、渋々頷いた。「わかった。行くけど、何かあったら責任は負わないよ」
崩れかけた石造りの塔の入り口に近づくと、ラーンは剣を構え、先頭を切って入っていった。イシェとテルヘルも続くが、イシェは不安そうに周囲を見回し、何度も深呼吸を繰り返した。
塔の中は薄暗く、埃っぽい空気が立ちこめていた。崩れた石畳の隙間から、蜘蛛の巣が垂れ下がっている。ラーンは意気揚々と奥へと進んでいくが、イシェは慎重に足元を確認しながら進んだ。テルヘルは二人を見下ろすように歩きながら、地図を片手に遺跡の構造を分析していた。
突然、床板の一部が崩れ落ち、ラーンの足元から抜け落ちていった。ラーンはバランスを崩し、よろめきながら壁に掴まった。イシェは咄嗟にラーンの肘をつかみ、なんとかバランスを取り戻させた。「危ない!気をつけろ!」
「しまった、油断してた」ラーンは深く息を吸い、立ち上がった。イシェは心臓がドキドキと音を立てていた。
「ここは危険だ。少し休んでから進もう」イシェは提案したが、ラーンは不機嫌な顔で首を横に振った。「いいんだ、俺はまだ元気だ!早く財宝を見つけたいんだ!」そう言い、再び奥へと進んで行った。イシェはため息をつきながら、テルヘルの視線を感じた。テルヘルは冷静にイシェを見つめ、小さく頷いた。イシェは深く頷き返した。彼らは、この遺跡探検が容易ではないことを理解していた。