ラーンが巨大な石門を押し開けると、埃っぽい空気が彼らを包んだ。イシェは鼻をつまんで咳き込み、「またこんな薄暗い遺跡か…」と呟いた。
「ほら、 complaining は後でだ」ラーンは grins を浮かべて言った。「今回は大穴が見つかる予感がするぜ!」
テルヘルは背後から静かに「そうであってほしい」とつぶやいた。彼女の目は影に覆われ、表情を読むのが難しい。
遺跡内は暗く湿っていた。足元には崩れかけた石畳が広がり、ところどころに苔が生えていた。ラーンの持つ焚き火の光が壁を照らし出すと、そこには不思議なシンボルが刻まれていた。イシェは慎重にその形をスケッチブックに描き取った。
「何か分かるか?」ラーンが尋ねると、イシェは首を横に振った。「見たことのない記号だ。古い文明のものかもしれない」
彼らは遺跡の奥へと進んでいった。すると、通路の先に広がる巨大な部屋が見えた。中央には祭壇があり、その上には金色の箱が置かれていた。ラーンの目が輝き、興奮した様子で「 Jackpot!ついに大穴だ!」と叫んだ。
テルヘルは冷静に状況を見渡した。箱の周りは複雑な仕掛けで囲まれており、触れると罠が発動する可能性があった。彼女は慎重に近づき、箱の表面を調べ始めた。
その時、イシェが何かを発見した。「あの記号…!」彼女は祭壇の壁に刻まれた小さなシンボルを指差した。「さっきスケッチブックに描いた記号と同じだ!もしかしたら…」
彼女の言葉は中断された。背後から冷たい声が響いた。「邪魔をするな」
ラーンとイシェが振り返ると、そこには黒いローブをまとった男が立っていた。彼の顔は影に隠れていて、表情が読み取れなかった。男は手元に赤い石を握りしめ、その石から不気味な光が放たれていた。
「ヴォルダン…」テルヘルが呟いた。「お前が…」
男はニヤリと笑った。「ようこそ、遺跡へ。ここには君たちが求めるものがある」彼は赤い石を祭壇の箱に向かって投げつけた。箱は激しく光り、その光は部屋中に広がった。
ラーンとイシェは目を覆った。そして、光が消えた時、彼らに衝撃的な光景が広がっていた。祭壇の上には、もはや箱ではなく、男の姿があった。男は力を誇示するように笑みを浮かべていた。
「これで全てだ…」男は言った。「君たちの希望も、未来も、全て俺のものだ」
イシェは恐怖で言葉を失った。ラーンの顔は青ざめていた。テルヘルだけが静かに立ち上がり、男を見つめた。「お前が…ヴォルダンに全てを奪われた?それは…」
彼女は声を詰まらせ、男の顔を見つめた。そこに刻まれた傷跡と、どこか懐かしい眼差しを見て、彼女は衝撃の事実を知った。男は彼女の家族だったのだ。義絶された息子が、復讐のために彼女の前に立っていた。