「よし、今回はあの崩れかけた塔だな!」ラーンが目を輝かせ、粗製の地図を広げた。イシェは眉間にしわを寄せて地図を睨み、「また危険な場所かい? ラーン、あの塔は地元の人間ですら近づかないって話だよ」と心配そうに言った。
「大丈夫だ、イシェ。俺たちがやれるはずさ!」ラーンは胸を叩き、自信満々に笑った。イシェはため息をついたが、ラーンの後ろをついていくことにした。
二人はビレーの町を出ると、荒野を南下し、崩れかけた塔へと向かった。道中、テルヘルは常に周囲を警戒しながら歩いていた。「ヴォルダンに雇われた者たちの目撃情報がある。ここら辺りをうろついているかもしれない」と彼女は冷静に言った。
塔に着くと、ラーンは興奮気味に石門を開けようと試みたが、重すぎて budge しなかった。「なんだ? これ、開かないぞ!」ラーンの顔色が曇り始めた。その時、イシェは塔の壁際に書かれた古びた文字を見つけた。「これは…警告文だ! この塔には魔物が棲んでいると…」
イシェがまだ言いかけていた時、塔の中から不気味な声が響き渡った。ラーンは剣を抜き、テルヘルは魔法の杖を構えた。その時、塔の奥から、人影が飛び出して来た。それは、ヴォルダン兵士だった!
「逃げるな!」ラーンの叫び声と共に激しい戦闘が始まった。ラーンは剣で敵をなぎ倒し、イシェは素早い動きで敵をかわし、テルヘルは強力な魔法で敵を攻撃した。しかし、ヴォルダン兵士たちは数が多く、次第に追い詰められていった。
その時、ラーンの目の前でイシェがヴォルダン兵士の攻撃を受けそうになった。ラーンは思わずイシェをかばうように飛び出した。その瞬間、ラーンの背中に刀が刺さった。
「ラーン!」イシェとテルヘルが同時に叫んだ。ラーンは苦しみながら倒れ込んだ。イシェは敵を蹴散らし、ラーンの元に駆け寄った。「ラーン!大丈夫?」
「イシェ…俺…」ラーンは血を吐きながら言った。「お前を守りたかった…」
イシェは涙を流しながらラーンの手を握った。その時、テルヘルが敵を全て倒し、イシェのもとに駆けつけた。「彼はまだ生きている!」テルヘルは薬草を取り出してラーンの傷口を治療した。
「生き残るんだぞ、ラーン。お前にはまだやるべきことがある」とテルヘルは言った。ラーンの目はゆっくりと開き、イシェの手を握りしめた。