ラーンの大斧が遺跡の壁を粉砕した。埃が舞う中、イシェが慎重に奥へと足を踏み入れた。「ここは…以前と違う。何か変だ。」彼の眉間にしわが集まった。
「変?どう変だ?」ラーンは興奮気味に言った。「早く宝探しの場所を見つけろよ!」
テルヘルは静かに周囲を警戒しながら、「様子を見る必要がある」と冷静に言った。「イシェが言うように、ここは以前とは違う雰囲気だ。何か…不吉な気配を感じる。」
イシェの足が止まった。「ここには何かがいる。隠れている。」彼の視線が壁の奥へと向かう。
その時、床から鋭い音が響き渡り、巨大なトゲが飛び出した。ラーンは咄嗟にイシェを押し倒し、自らトゲを受ける。
「ラーン!」イシェは驚いて叫んだ。血がラーンの腕を染めていく。
「大丈夫だ…心配するな…」ラーンは苦しそうに笑った。「お前を助けるためなら、何度でも…」
テルヘルは冷静に状況を分析し、近くの壁にあるレバーを見つけると、素早く操作した。床のトゲは引っ込み、部屋は静寂に包まれた。
「…何だったんだ?」イシェが震える声で言った。ラーンの顔色が悪いことに気づき、恐怖と感謝が入り混じる複雑な感情を抱いた。
「罠だ。」テルヘルは冷徹に言った。「この遺跡には何か恐ろしいものがいるようだ。気をつけなければ…」
ラーンは苦しみながら立ち上がった。「俺は大丈夫だ…もっと深く潜るんだ!必ず財宝を見つける!」
イシェはラーンの決意を理解した。彼は自分たちの命を危険にさらすほど、仲間への義理深さを持つ男だった。
「わかった」イシェは言った。「共に進む。そして、お前を守り抜く。」
テルヘルは二人の後ろから静かに見守った。彼らの義侠心には共感する部分もあった。しかし、彼女は自分自身の復讐を果たすためにこの遺跡を探る。目的のためには、どんな犠牲も厭わない覚悟をしていた。