ラーンの大振りの剣が石壁を砕き、埃が舞った。
「よし、これで通れるぞ!」
彼は胸を張って宣言し、イシェは眉をひそめた。
「また行き当たりばったりか。あの奥には罠があるかもしれない」
「大丈夫だ、大丈夫!俺に任せろ!」
ラーンの自信たっぷりな言葉に、イシェはため息をついた。彼を止めようにも、その熱意と行動力には勝てなかった。
すると、後ろから冷たい声がした。
「二人はいつも無駄な争いをしているようだ」
テルヘルが不機嫌な顔で言った。彼女の鋭い視線は、ラーンの無計画さに向けられていた。
「今回はいい機会だ。この遺跡にはヴォルダンが欲しがるものがあると聞いた。我々はその前に立ち塞がり、彼に復讐の刃を突き刺すのだ」
テルヘルの言葉に、イシェは少しだけ心を動かされた。しかし、ラーンはいつものように彼女の言葉に耳を傾けずに、遺跡の奥へと進んでいった。
「さあ、イシェも行くぞ!」
彼の後ろ姿を見て、イシェは小さく頷いた。
遺跡の奥深く、彼らは埃まみれの部屋を見つけた。そこには、黄金でできた祭壇があり、その上に奇妙な形をした石が安置されていた。
「これだ!大穴だ!」
ラーンの目が輝き、彼は興奮気味に石を手に取った。しかし、その瞬間、石から光が放たれ、部屋中に広がった。
「うわぁ…」
イシェは目を細めた。その光は奇妙な模様を作り出し、壁一面に広がっていく。そして、その光が消えた時、部屋の中心には豪華なテーブルと椅子が現れていた。
テーブルの上には、色とりどりの料理が並べられていた。肉料理、魚料理、果物、デザート…ありとあらゆる美食が、まるで絵画のように美しく飾られていた。
ラーンの目は丸くなり、イシェは思わず息を呑んだ。
「これは…」
テルヘルも言葉を失い、三人はその光景に圧倒された。遺跡の奥深くで、予想外の美食に遭遇したのだ。