ラーンの肩越しに、イシェがテルヘルを見つめた。薄暗い遺跡の奥深くで、テルヘルの顔色は蒼白に染まっていた。炎の光が彼女の鋭い顎線を際立たせ、その下の唇は薄く震えていた。
「どうしたんですか?テルヘル」ラーンが声をかけた。
彼女はゆっくりと視線を上げ、ラーンの瞳を見つめた。「何もないわ。少し疲れただけ」と、かすれた声で言った。
イシェはテルヘルの様子を不信そうに眺めながら、彼女の背後から剣を抜いた。「何かあったら言ってくれよ」と、低い声で言った。
テルヘルは苦笑した。「心配しないで。私は大丈夫よ」と言いながらも、視線は遺跡の奥深くに注がれていた。そこには、かつてヴォルダンに奪われた大切なものを象徴する、何かがあったのだ。
ラーンがイシェにそっと elbowを当てた。イシェは振り返ると、ラーンの顔に一瞬の驚きを映し出した。ラーンの視線はテルヘルの唇から離れず、その美しさに心を奪われているようだった。イシェはため息をつき、自分自身を見つめた。
「本当に大丈夫かな」と呟いた。