置き去り

その場から去り、後に残すこと。

物語への影響例

忘却と進歩の関係。価値付けと見捨ての心理。時間の非可逆性。

生成サンプル(サンプルの仕様

「おいラーン、待て!」イシェの呼び声も届かないほど、ラーンは遺跡の奥深くへ駆け込んでいた。彼の顔には興奮の色が浮かび、まるで宝の山を目の前にした子供のように喜んでいた。

「よし、見つけたぞ!古代の銘文だ!」

ラーンの指さす方向には、壁面に刻まれた複雑な文字列があった。テルヘルは眉間に皺を寄せながら近づき、その内容を解読する。

「これは…ヴォルダンの軍がかつてこの遺跡に侵入し、何かを奪っていった記録だ」

イシェは冷や汗を流した。「ということは、まだこの遺跡には危険な罠が残っている可能性がある…」

ラーンはそんな警告も耳に入らず、銘文の奥にある部屋へと入っていく。イシェとテルヘルが後を追うと、そこは広大な地下空間だった。天井から伸びる巨大な石柱に囲まれ、中央には祭壇のようなものが置かれていた。

「これは…」テルヘルが言葉を失った。祭壇の上には、輝く宝石で飾られた黄金の剣が静かに鎮座していた。その美しさは息を呑むほどだったが、同時に危険な予感も漂わせていた。

ラーンは剣に手を伸ばそうとしたその時、床に仕掛けられた罠が発動した。石柱から鋭い棘が生え上がり、三人を囲んでしまった。

「くそ!」ラーンが剣で棘を切り払おうとするが、数が多くて手出しできない。イシェも必死に逃げ回ろうとするが、すでに逃げ場はない。

テルヘルだけが冷静さを保っていた。彼女は小さな袋から粉末を取り出し、空中に撒き散らした。すると、棘に接触した部分が腐食し始め、ゆっくりと崩れ始めた。

「急いで!」テルヘルは叫び、三人は崩れゆく石柱の間を縫うようにして逃げ出した。

なんとか脱出できたものの、ラーンは足を負傷していた。イシェは彼を抱き上げようとするが、ラーンの顔には激しい怒りがあった。

「あの剣…絶対に手に入れる!」

イシェはラーンの言葉に言葉を失った。彼は、あの剣を手に入れようとすれば、どんな危険も顧みないだろう。そして、自分たちは置き去りにされるかもしれないという恐怖を感じた。