ラーンが興奮気味に石板を指差した。「見てみろイシェ!古代の文字だぞ!きっと大穴への手がかりだ!」イシェは眉間にしわを寄せながら石板を見つめた。確かに、複雑な模様が刻まれていた。「ラーン、落ち着いて。それはただの装飾かもしれない」と冷静に言った。だがラーンの耳には届かなかった。「よし、テルヘルに報告だ!」彼は興奮気味に立ち上がった。
テルヘルは遺跡の入り口で待っていた。ラーンの話に少し興味を示しながらも、「装飾なら価値がない」と冷静に切り返した。「でも、もし本当に手がかりなら、この遺跡に眠る宝物は…」ラーンは言葉を濁したが、彼の目は輝いていた。イシェはテルヘルの鋭い視線を感じながら、心中でため息をついた。
彼らは遺跡の奥深くへと進んでいった。通路は狭く、天井からは鍾乳石がぶら下がっていた。ラーンの足取りは軽やかだったが、イシェは周囲を警戒しながら慎重に歩いていた。「ここは罠が多い場所だぞ、気をつけろ」とテルヘルが言った。イシェは頷き、剣を握りしめた。
しばらく進むと、通路の先に大きな石門が現れた。石門の上には同じような模様が刻まれており、ラーンの興奮がさらに高まった。「これは!」と彼は叫んだが、イシェは不安を感じていた。石門の周りには、奇妙なシンボルが並んでいたのだ。
「待て!」イシェはラーンを制止しようとしたが、遅かった。ラーンは勢いよく石門を開けようとした瞬間、床に仕掛けられたトラップが発動した。鋭い棘が飛び出し、ラーンは慌てて後ずさった。イシェは素早くラーンの腕を引き寄せたことで、棘から逃れることができた。
「危ない!」テルヘルは冷静に状況を判断し、石門のシンボルを注意深く観察した。「これは警告だ。この遺跡には、より強力な罠が仕掛けられている」と彼女は言った。ラーンは顔色が変わった。彼の無計画さは、彼自身だけでなく仲間たちにも危険をもたらすことを痛感した。
イシェは冷静に状況を分析し、シンボルの意味を解き明かした。「このシンボルは、特定の順序で石門を開けなければいけないという意味だ」と彼女は言った。「もし間違えると…」イシェは言葉を濁したが、ラーンとテルヘルは彼女の意図を理解した。
彼らは慎重にシンボルの配置を調べ、正しい順番で石門を開ける方法を探した。緊張感が漂う中、イシェの冷静な判断と分析力は、彼らの命を救う鍵となった。