ラーンが巨大な石の扉を叩き割るように開けると、イシェは眉間に皺を寄せた。「またか。」 狭い通路の先に広がるのは、見覚えのある光景だった。埃っぽい空間に、崩れかけた石柱が何本も立ち並び、天井からは鍾乳石がぶら下がっている。
「こんなとこ、もう何回も探索しただろ」イシェはため息をつきながら、懐中電灯を手に取る。「何もないって。」
ラーンの顔には期待の光が宿っていた。「いや、今回は違うって!この遺跡、何か秘密があるはずなんだ!」
「秘密?」テルヘルが鋭い視線でラーンを睨んだ。「何の情報源だ?」
ラーンは少し自信なさげに言葉を濁した。「えっと…街の人から聞いたんだ。昔、この遺跡で何か大きな発見があったって話で…」
イシェはため息をつきながら、懐中電灯の光を壁に向けて照らした。壁には、かすかに刻まれた模様が浮かび上がってきた。
「これは…?」イシェは眉をひそめた。「こんな複雑な模様、見たことないぞ」
テルヘルは近づいて模様をよく観察すると、小さく頷いた。「これは古代語だ。ヴォルダン帝国の文字と似ている…」
ラーンの顔色が変わった。「ヴォルダン…?」
「そうだな。」テルヘルは静かに言った。「この遺跡は、ヴォルダン帝国が何かを隠した場所だったのかもしれない。そして、その秘密がここに眠っている。」
イシェは不安げに言った。「でも、なぜヴォルダンがこんなところに…」
「わからない。」テルヘルは目を輝かせた。「だが、もしこれが本当なら…これは大きな発見だ。我々に未来を切り開く鍵になるかもしれない。」
ラーンは興奮気味に言った。「よし!探検だ!」
イシェは諦めたようにため息をつきながら、後ろを振り返った。狭い通路の先に広がるのは、見覚えのある光景だった。埃っぽい空間に、崩れかけた石柱が何本も立ち並び、天井からは鍾乳石がぶら下がっている。まるで、無限に続く迷宮のようだった。
「また、あの繰り返しか…」イシェは小さく呟いた。だが、その小さな声は、広大な遺跡の奥底に飲み込まれてしまった。