ラーンの大剣が遺跡の壁を粉砕した。埃が立ち込め、視界不良の中、イシェは咳き込みながら「また無茶なことを…」と呟いた。ラーンは得意げに笑った。「ほら、見ろよ!俺様は言っただろ?ここには何かあるって!」
だが、その奥には何もなかった。ただ崩れた壁と、さらに奥へと続く暗い通路が広がるだけだった。イシェは肩を落とす。「また無駄足だったわね…」
「違うぞ、イシェ」テルヘルが静かに言った。「ここには何かがある。ただの遺跡じゃない。かつてここに存在した文明の痕跡が残されているはずだ」彼女の瞳は鋭く輝いていた。
ラーンは少しだけ不安げに、「何の話だ?」と尋ねた。テルヘルは彼らをじっと見つめた。「この遺跡は、ヴォルダンが隠そうとしているものと繋がっており、その鍵となるものがここに眠っている可能性がある」
イシェは驚いてテルヘルを睨んだ。「そんな…どうしてわかるの?」
「それは…」テルヘルは言葉を濁し、何かを思い出したように目を閉じた。しばらくすると、彼女はゆっくりと語り始めた。「私の故郷、ヴォルダンに滅ぼされた村には、ある伝説が残されていた。それは…」
彼女の言葉は、遠い昔に起きた出来事、そして失われた縁者たちの物語へと続いていった。ラーンとイシェは静かに聞き入っていた。彼らの心の中に、小さな希望の火が灯り始めた。