「よし、今回はあの奥の部屋だ。イシェ、地図を確認しろ」 ラーンがそう言うと、イシェは懐から羊皮紙を広げた。薄暗い遺跡の奥深くで、彼らの足音だけが響いていた。
「ここだな…でも、何か変だ」 イシェは眉をひそめた。「この記号…見たことないぞ」
テルヘルが近づき、地図を覗き込んだ。「ヴォルダンの紋章に似ている…」 彼女の声に、ラーンとイシェは息をのんだ。ヴォルダン。その名前を聞くだけで背筋が凍りつく。
「まさか、ここがヴォルダンの遺跡だと?」 イシェの顔色が変わった。「でも、なぜこんな場所に…」
「答えは部屋の中にある」テルヘルは剣を構え、先頭に立った。彼らは重い扉を開け、部屋へと入った。
部屋の中央には、巨大な祭壇が置かれていた。その上に、黒曜石で作られた奇妙な石像が鎮座していた。石像の目は、まるで生きているかのようにラーンたちを見つめているようだった。
「これは…」 ラーンの言葉が途絶えた。石像から、不気味な力が emanate しているように感じた。
テルヘルは石像に近づき、手を伸ばした。「ヴォルダン…お前が何者なのか、ここで明らかにしてくれる」
その時、石像の目が光り始めた。そして、石像の口が開き、声が響いた。「汝ら、我が縁を断ち切る者か?」
ラーンとイシェは驚愕した。石像の声は、まるでテルヘルの声を真似ていた。
「縁切り…?」 イシェが呟いた。
テルヘルは、石像の視線から目をそらすように言った。「私はヴォルダンに復讐する。お前など、関係ない」
石像は笑い声を上げた。「汝は、縁を断ち切ることすらできない。運命はすでに決まっている…」
ラーンの瞳が燃えた。「黙れ!俺たちは、自分の手で運命を切り開く!」 彼は剣を抜くと、石像に向かって突進した。