ビレーの朝焼けは、いつもより少しだけ薄かった。ラーンはいつものように、イシェの寝顔を見ながら溜息をついた。今日も遺跡だ。大穴を夢見て、何度も何度も遺跡に潜ったが、手に入ったのは埃と錆びた金属片ばかりだった。
「今日は何かいいものが見つかるといいな」
ラーンの言葉に、イシェは小さく頷いた。彼女はいつもより早く起き、丁寧に braids を編んでいた。ラーンの無計画さに呆れることもあるが、彼の明るさにはいつも救われる。
ビレーの広場に、テルヘルの姿があった。彼女はいつものように黒衣を身にまとい、鋭い視線で周囲を見回していた。今日の遺跡は、ビレーから少し離れた、森の中に隠れているという。危険な場所だと言われているが、テルヘルはそれを承知の上だった。
「準備はいいか？」
テルヘルの言葉に、ラーンはニヤリと笑った。剣を手にすると、イシェの方へ視線を向け、「いくぞ！」と声をかけた。イシェは小さく頷き、三人は森へと足を踏み入れた。
太陽の光が木々の隙間から差し込み、地面には影が長く伸びていた。静寂の中に鳥のさえずりが響き渡り、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。彼らはゆっくりと進み、やがて遺跡への入り口を見つけた。
「ここだ」
テルヘルが呟くと、ラーンは興奮した表情で剣を抜いた。イシェは深く息を吸い込み、周囲を見回した。遺跡の入り口には、奇妙な模様が刻まれていて、どこか不気味な雰囲気を漂わせていた。
「気をつけろ」
イシェの声が響き渡る中、三人は遺跡へと足を踏み入れた。彼らの影は、遺跡の奥深くへ伸びていく。