ラーンが石ころを蹴飛ばしてイシェの足元へ転がすように投げつけた。「どうだ？今日は何か良いものが見つかる気がするぜ！」
イシェは眉間にしわを寄せる。「またそんなことを言ってる。遺跡探索は運任せだって言ったでしょう。絵画みたいに美しい財宝が簡単に手に入るわけじゃないんですから。」
「でも、いつか必ず大穴を見つけるんだ！あの絵画みたいの、黄金の輝きでいっぱいだぞ！」ラーンは拳を握りしめた。
イシェはため息をついた。「絵画の話ばかりしてる。現実を見なさいよ。この遺跡は危険だし、見つけた財宝はヴォルダンに奪われる可能性もあるでしょう？」
「そんなことない！テルヘルさんがいるじゃないか。」ラーンの目は自信に満ちていた。
テルヘルは遺跡の入り口で静かに佇んでいた。彼女の鋭い視線は、まるで絵画の登場人物のように生き生きと輝いていた。彼女は影から一歩も動かず、彼らの準備を見守っていた。「準備はいいか？」彼女の口調は冷たかったが、その瞳には燃えるような意志が宿っていた。
ラーンの顔色は一瞬だけ曇ったがすぐにいつもの笑顔を取り戻した。「準備万端だ！さあ、イシェ、行くぞ！」
イシェはため息をつきながらラーンの後を追った。テルヘルの視線は二人の背中に向けられ、まるで絵画に描かれた物語の主人公を見守るように静かに追いかけていた。
遺跡の中は薄暗く、湿り気が漂っていた。壁には幾何学模様が刻まれ、まるで古代の絵画のように神秘的だった。ラーンは興奮気味に剣を振るいながら進んだが、イシェは慎重に足元を確認しながらゆっくりと歩いていった。テルヘルは二人が進む様子を見つめながら、何かを考え込み始めていた。
突然、ラーンの剣が壁に突き刺さった音と共に、遺跡の奥から不気味な音が響き渡った。ラーンとイシェは驚いて振り返ると、テルヘルはすでに剣を抜いて戦いの準備を整えていた。彼女の顔には強い決意が宿り、まるで絵画の中に描かれた勇者の姿のように輝いていた。