ラーンが巨大な石の扉の前に立ちはだかる遺跡の壁を叩きつけた。「どうだ！開けろ！」
イシェは眉間に皺を寄せた。「そんな荒っぽいことをしても無駄よ。この扉には何か仕掛けがあるはずよ。」
「仕掛けか…わかった」ラーンは扉を諦め、周囲をくまなく探すように目を走らせた。すると、壁に細かな模様が彫られていることに気がついた。「イシェ、見て！これって何か？」
イシェも模様を見つめた。「確かに…まるで絡み合う歯車のような…」
その時、テルヘルが近づいてきて言った。「これは古代の絡繰装置だ。扉を開けるには、この模様を特定の順番に辿る必要がある」彼女は小さな宝石を取り出し、壁の模様に合わせて配置し始めた。宝石が光り出すと、壁一面に刻まれた模様がゆっくりと動き始めた。
「すごい…」ラーンの目は輝いていた。「テルヘル、お前って本当に何でも知ってるな！」
「まだ始まったばかりだ」テルヘルは冷静に言った。「この遺跡には多くの仕掛けがある。そして、全てを解き明かす鍵は、この絡繰装置にある」彼女の瞳に燃えるような光が宿っていた。
イシェは不安を感じた。「一体、何のためにこんな複雑な仕掛けを作ったんだろう…」
「それは誰にもわからない」テルヘルは答えた。「しかし、私はこの遺跡が隠す真実を明らかにする。そして、ヴォルダンに復讐を果たすために」彼女は決意を固め、扉が開くのを待っていた。