ラーンが巨大な石門の前に立ち尽くしていた。イシェの制止も聞かずに、興奮気味に手を伸ばす。門には複雑な模様が刻まれており、触れた瞬間、青白い光が脈打ち始めた。
「やめて!ラーン!」
イシェの警告は空しく、光は急速に強まり、石門全体を包み込んだ。すると、門の上部から鋭い音が響き、石板が崩れ落ちていく。その奥には、輝く結晶体が林立する空間が広がっていた。
「わっ…」
ラーンの目は輝き、イシェは息をのむ。それは、かつてこの地に存在した文明の遺産、失われた技術の結晶化だった。
「すごい…こんなものがあったなんて…」
テルヘルは冷静に周囲を警戒しながら言った。
「これはヴォルダンにとっても価値のあるものだ。我々が先に手に入れる必要がある。」
しかし、その瞬間、石門の奥から不気味な音が聞こえてきた。影が蠢き始め、結晶体に向かってゆっくりと迫る。
「何かいる…」
イシェは緊張した声で言った。ラーンは剣を抜き、テルヘルは魔力を込めた矢を構えた。三人は結晶体の輝きに照らされた影に立ち向かう準備をしていた。