ラーンが力強く石を蹴飛ばすと、埃が舞い上がった。イシェは眉間に皺を寄せながら、彼の行動を静かに見ていた。「落ち着いて、ラーン。あの遺跡の入り口は複雑だぞ。無駄な動きは控えるべきだ」
「わかってるって!ただイライラするんだ。こんな場所にいるのが嫌なんだよ」ラーンは不機嫌そうに言った。
イシェはため息をつきながら、彼の肩を軽く叩いた。「分かってるよ。でも、テルヘルが言うように、あの遺跡には何かあるはずだ。僕たちも、あの『結び目』の謎を解き明かす必要がある」
テルヘルは少し離れた場所で地図を広げ、真剣な表情で何かを呟いていた。彼女はヴォルダンから奪われたものを取り戻すため、この遺跡の謎を解き明かす必要があった。そして、その鍵となるのが「結び目」と呼ばれる古代の記号だった。
「あの記号は一体何を意味するんだろう?」イシェが呟くと、ラーンも興味深そうに近づいてきた。「確かに、あの遺跡で見つけた壁画には、よく似た模様が描かれていた気がする」
テルヘルは地図を指さしながら言った。「この遺跡の構造は複雑で、様々な部屋に分かれている。そして、それぞれの部屋には『結び目』が刻まれた石碑がある。もしかしたら、それらの石碑を特定の順番に辿ることで、遺跡の真の姿が見えてくるのかもしれない」
ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。彼らはテルヘルの言葉に心を躍らせた。もし本当にそうなら、この遺跡から得られるものは莫大な財宝だけではないかもしれない。それは、彼らの運命を大きく変える可能性を持つ、大きな秘密への鍵だった。
「よし、準備をしよう」ラーンは決意したように言った。「あの『結び目』の謎を解き明かし、僕たちに何が待っているのか、確かめてやる!」イシェも頷き、テルヘルは冷たい目で彼らをじっと見つめた。三人は互いに言葉もなく、遺跡へと向かう道を歩み始めた。彼らの前に広がるのは、未知なる世界への入り口だった。