ラーンの大剣が岩壁を叩き割り、埃が立ち込めた。
「よし、ここだ!」
彼は興奮気味に内部を見つめる。イシェは懐中電灯の光を当てながら、慎重に足場を確認した。
「待て、ラーン。急がなくてもいいだろう」
だがラーンの耳には届かなかった。彼はすでに遺跡の中へと入っていく。イシェはため息をつき、テルヘルに視線を向ける。テルヘルはいつものように冷静に周囲を警戒していた。
「あの男は本当に…」
イシェの言葉が終わる前に、奥から崩落音が響いた。ラーンの悲鳴がかすかに聞こえてきた。
「ラーン!」
イシェは慌てて駆け込むが、既に崩れた岩で道が塞がれていた。テルヘルが冷静に状況を把握し、近くの柱をこじ開けるようにして隙間を作り出す。イシェは狭い隙間を潜り抜け、ラーンのもとへたどり着いた。
彼は意識を失っており、額から血が流れている。
「ラーン!大丈夫か?」
イシェが彼を抱き上げようとした時、崩落した岩の下から何かが光った。それは小さな箱だった。イシェが慎重に持ち上げると、中からは鮮やかな青い宝石と、何枚かの古い parchmentsが入っていた。
「これは…」
イシェは驚愕する。宝石は遺跡の謎を解き明かす鍵になるかもしれない。だが、ラーンの容態が心配で、彼女はすぐに箱を閉じ、彼を運び出すことに集中した。
テルヘルは冷静に状況を判断し、近くの村へ運ぶことを決めた。イシェはラーンを担ぎ、テルヘルが後を追うように歩いていた。
村に到着すると、 Healer はすぐにラーンの治療を開始した。イシェは彼の様子を見つめながら、宝石を握り締めていた。
「大丈夫だよ、ラーン。必ず治るから」
彼女は彼の額に絆創膏を貼った。それは、彼を心配する彼女の小さな希望だった。