ラーンが巨大な石の扉を勢いよく押し開けた時、埃っぽい空気が彼らを包み込んだ。イシェは咳き込みながら、「またこの手の遺跡か…」と呟いた。ラーンの鼻の下は既に興奮で汗ばんでおり、「今回は違う！何か感じるんだ！」と目を輝かせた。
テルヘルは冷静に周囲を見回しながら、地図を広げた。「ここからは慎重に進もう。この遺跡の構造は複雑だ。罠の可能性もある」と警告した。イシェはテルヘルの言葉に頷きながら、ラーンの無茶な行動を心配していた。彼の冒険心は時に危険すぎるのだ。
彼らは深い闇の中を進み、朽ち果てた壁画や謎の文字が刻まれた石柱に囲まれながら、遺跡の奥へと進んでいった。時折、不気味な音が響き渡り、イシェは背筋を寒気を感じさせた。
突然、ラーンの足元から光が放たれ、床が崩れ始めた。ラーンはバランスを崩し、深淵に落ちていく。イシェは反射的に手を伸ばしたが、届かなかった。
「ラーン！」イシェの叫びが空洞に響き渡った。テルヘルは冷静に状況を判断し、「ここには何かあるはずだ。探す必要がある」と呟いた。
イシェは恐怖と焦燥感の中で、ラーンの姿を探した。崩れ落ちた床から、かすかに光るものが確認できた。イシェは息を呑んだ。それは古代の書物だった。その表紙には、奇妙なシンボルが描かれており、どこかで見たことがあるような気がした。
その時、イシェの頭に一つの考えが浮かんだ。これは単なる遺跡ではない。何かを隠している、あるいは何かを呼び覚ますための場所なのかもしれない。そして、ラーンの落下は偶然ではなく、何かの意図的なものだったのではないか？
イシェは恐怖と興奮が入り混じった気持ちで、書物を手に取ると、そのページをめくり始めた。そこには、世界の終末を告げるとしか思えない記述が記されていた…。