ラーンが遺跡の入り口に立っている時、イシェはいつもより深くため息をついた。「またあの噂話か?」
「いや、今回は違うぞ。ビレーの酒場で聞いたんだ。ヴォルダンの軍勢が国境を越えてきたって」
イシェは眉間に皺を寄せた。「そんな話は、以前からあったんじゃないのか? ヴォルダンとの戦争が始まるって噂ばかりで、結局何も起こらなかったじゃないか。」
ラーンの表情は曇った。「でも、今回は違う気がするんだ。酒場の主人の話だと、ヴォルダンの軍勢が遺跡の近くまで来ているらしい。もしかしたら、あの遺跡を狙っているかもしれない」
イシェはため息をついた。「もしそうなら、我々にとって厄介だ。遺跡探索ができなくなるだけでなく、ビレーも危険に晒されるかもしれない」
その時、後ろから声がした。「心配するな、二人が安全な場所にいる限り、ヴォルダンには勝てない」
振り返ると、テルヘルが立っていた。彼女の目は鋭く光り、自信に満ち溢れていた。「私はヴォルダンを倒すために生きている。お前たちには遺跡を探索し続けるように命じる。ヴォルダンが何を企んでいるのか、その手がかりは遺跡の中に眠っているはずだ」
ラーンとイシェは互いの顔を見合わせた。テルヘルの言葉は冷酷ながらも、どこか頼もしく感じた。彼らは遺跡探索を続け、ヴォルダンの脅威に対抗する決意を固めた。しかし、心の中で小さな不安が渦巻いていた。「終了」