ビレーの薄暗い酒場で、ラーンが豪快に笑い声を上げていた。「今日はいい日だ!あの遺跡から、細々した金属片をたくさん見つけてな!」
イシェは眉間にしわを寄せながら、「細々した金属片」という言葉を繰り返すように呟いた。「本当に大穴が見つかるかどうか、疑い始めてきたわ。ラーン、いつまでもこんな細々とした仕事ばかり続けているつもり?」
ラーンの笑顔は少し曇ったが、すぐに元通りになった。「そんなこと言わないでくれよ、イシェ!いつか必ず大穴を見つけるさ!それに、今日はテルヘルさんが高い報酬を払ってくれたんだろ?それで酒を飲めるじゃないか!」
確かに、テルヘルはいつもよりも多くの金貨をラーンたちに渡していた。その冷酷な表情にわずかな笑みが浮かんでいた。「今回の遺跡から得られた情報は非常に価値がある。特にあの細々した歯車のような部品は、ヴォルダンが隠している技術の鍵かもしれない。」
「ヴォルダン…」「またあの話か…」ラーンとイシェは顔を見合わせた。テルヘルがヴォルダンへの復讐を誓っていることは知っていた。しかし、その復讐のために自分たちが巻き込まれることに不安を感じていた。
次の日、三人は再び遺跡へと向かった。細かな埃が舞う暗い通路を進み、朽ちた石の階段を登っていくと、巨大な扉が現れた。扉には複雑な模様が刻まれており、細かな部品が組み合わさって鍵になっているようだった。
「これは…!」テルヘルは目を輝かせた。「この鍵を解けば、ヴォルダンの秘密が明らかになるかもしれない。」
ラーンが鍵を慎重に操作し始めた。イシェは緊張で息を呑んだ。扉が開く瞬間、三人の運命が大きく変わることになるだろう。しかし、その直後、背後から不気味な音が聞こえてきた。
「待て…」イシェは小さく呟いた。細かな足音が近づいてくるのがわかる。誰かが彼らを追いかけてきているのだ。