ラーンの粗雑な斧の振り下ろしが埃を巻き上げ、遺跡の奥深くへと続く通路を照らす火の粉を散らした。イシェは眉間に皺を寄せて、ラーンの後ろをついていった。「またこんな場所に迷い込んだか？地図を見るのも面倒なのか？」
「そんなことより、何か見つかったか？」ラーンは振り返り、イシェに問いかけた。「ほら、ほら、この遺跡には何かあるはずだ！大穴が見つかる予感がするんだ！」
イシェはため息をつきながら、壁に刻まれた古代文字を指さした。「ここにも書かれている。ここは単なる埋蔵物庫で、特に貴重なものは存在しないだろう。」
「そうかもしれないけど、もしかしたら…」ラーンの目は輝いていた。「この遺跡には、まだ見ぬ秘密が隠されているはずだ！俺たちにはわかるんだ！」
イシェはラーンの熱意に押されて、仕方なく頷いた。彼らはテルヘルに従って、ヴォルダンとの戦いに必要な情報や遺物を探す旅を続けている。テルヘルはいつも冷静沈着で、目的のためなら手段を選ばない冷酷な女性だ。だが、彼女もまた、この遺跡に何かがあると感じていたようだ。
「ここには何かがある」テルヘルが言った声は低い。彼女は壁の石に手を当て、目を細めた。「古代の呪文の痕跡を感じる。そして…何かが眠っている。」
ラーンの興奮が高まった。「そうか！大穴だ！」
イシェは不安を感じた。テルヘルの言葉には、何か不吉な予感が漂っていた。だが、ラーンの熱意に押され、彼女は仕方なく彼と一緒に遺跡の奥へと進んでいった。
彼らは深い闇の中を進むにつれ、周囲の温度が下がり始めた。湿った空気はカビ臭く、不気味な静寂が張り詰めていた。壁には奇妙な模様が刻まれており、まるで警告のように見えた。
すると、突然、床から光が漏れてきた。ラーンが駆け寄り、石板をこじ開けようとした瞬間、激しい風が吹き荒れ、遺跡全体が激しく揺れた。
「何だこれは！」ラーンの叫び声は風でかき消された。イシェは恐怖に震えながら、テルヘルを探した。彼女は冷静に剣を抜き、周囲を見回していた。
「これは…罠だ」テルヘルが言った。「この遺跡は、まだ生きている。」
その瞬間、石板から巨大な影が現れ、ラーンに向かって襲いかかった。