ラーンの豪快な笑い声がビレーの秋の空に響き渡った。イシェは眉間にしわを寄せながら、彼を睨みつけた。
「また大穴だなんて、そんな都合の良い話があるわけないだろう」
イシェがそう言うと、ラーンは肩をすくめた。
「いや、今回は違うって!ほら、あの遺跡の奥深くだって、紅葉した木の下に何かあるって噂があっただろ?きっと大穴への入り口さ!」
イシェはため息をついた。いつも通りのラーンの妄想だ。だが、彼の熱意には負けてしまう自分がいるのも事実だった。
「わかった、わかった。今回は君の言う通り、紅葉の季節だからって、遺跡を探検してみようか」
イシェがそう言うと、ラーンは大喜びで拳を突き上げた。すると、その背後から声がした。
「二人とも、準備はいいかね?」
テルヘルが鋭い目で二人を見つめていた。彼女の傍らには、いつも通り高価な探検道具が揃っていた。
「もちろん、テルヘルさん」
イシェが答えると、テルヘルは小さく頷いた。彼女の顔には、いつものように冷徹な表情が広がっていた。
紅葉が色づく山道を登り、遺跡へと続く道を進む三人。ラーンの興奮を抑えきれない様子に、イシェは苦笑した。そして、テルヘルの鋭い視線を感じながら、自分がこの冒険に巻き込まれた理由を改めて考えるのだった。