ラーンの重い斧が石壁を砕き、埃が舞った。イシェは咳をしながら「もう少し慎重に、ラーン。あの崩落は、あの遺跡の深部から持ち上げられたものじゃないか？」と注意した。ラーンは苦笑いを浮かべて、「大丈夫、イシェ。俺の勘を信じろ！大穴への道を開く鍵が、この遺跡にあるって気がするんだ」と言った。
テルヘルは背後から冷めた目で二人を見つめていた。「鍵？大穴？そんなものに時間を浪費するな。ヴォルダンに復讐するための糧を得るのだ。遺跡の奥深くに眠る真の宝物は何かを知っているか？」と鋭い視線でラーンを睨みつけた。ラーンの顔色が少し曇ったが、すぐにいつもの陽気な笑顔を取り戻した。「ああ、もちろん！テルヘルさん、その通りだ！俺たちは一緒に、この遺跡から糧を得て、ヴォルダンに立ち向かうんだ！」
イシェは二人のやり取りを眺めながら、胸の中でため息をついた。ラーンの無邪気さとテルヘルの冷酷さは、まるで水と油だった。しかし、イシェ自身もまた、この遺跡がもたらす糧を求めているのだという事実を否定できなかった。ヴォルダンからの脅威から逃れるためには、彼らには必要だ。
「よし！」ラーンが力強く叫んだ。「この奥へ進むぞ！大穴への道が開けるはずだ！」
イシェは深く息を吸い、二人が進むべき道を照らす炎のランプを高く掲げた。彼らは遺跡の深淵へと進んでいった。その先には、どんな糧が待っているのか？そして、それは彼らをどこへ導くのか？