「おいイシェ、今日はどこ行くんだ？」ラーンが寝ぼけ眼をこすりながら言った。イシェはいつも通り、小さな火にかける鍋を見つめていた。「今日は東の遺跡だ。テルヘルが古い地図を入手したらしい」
「またかよ。あの婆さんには騙されるなよ」ラーンの顔色が悪くなるのが見える。イシェはため息をついた。「分かってるわよ。でも報酬がいいし、テルヘルが言うなら何かあるはずさ。」
ビレーの街から少し離れた遺跡に向かう道は険しかった。太陽の下、ラーンは汗だくになって歩き、イシェは小さなリュックを背負いながら軽やかに進んでいく。「今日はいい天気だな」とラーンの言葉に、イシェは小さく頷いた。
遺跡の入り口には、テルヘルが待っていた。「遅っな！準備はいいか？」テルヘルは鋭い眼差しで二人を見下ろした。「地図によると、奥深くに何かがあるらしい。危険だが、報酬も相当なものだ」
遺跡の中は薄暗く、湿った空気が漂っていた。ラーンは剣を手にし、イシェは小刀を握り締めていた。テルヘルは先頭を歩いていき、時折地図を広げて確認する。
「ここだな！」テルヘルが壁の奥を指さした。「地図に記されている場所だ」
壁には複雑な模様が刻まれており、その中心には小さな穴が開いていた。「これを開けるには何かが必要だろう」イシェは呟いた。
ラーンの目は輝いていた。「よし！開けてやろうぜ！」
しかし、その瞬間、床から毒ガスが噴き出した。ラーンは coughing and sputtering, イシェは素早く後ずさった。テルヘルは冷静に動き、「罠だ！気をつけろ！」と叫んだ。
イシェは毒を避けるために壁をよじ登り、ラーンは剣で毒の噴出源を破壊しようと試みた。テルヘルの指示に従い、イシェは小さな石を壁の模様に打ち込んだ。すると、壁の一部が回転し、毒ガスの噴出が止まった。
「よし、これで安全だ」イシェは息を切らした。「罠が多い遺跡だな…」
「まったく…あの婆さん、ちゃんと情報を教えてくれればよかったのに」ラーンは顔をしかめた。イシェは苦笑した。「まあ、いいや。報酬がいいなら多少の危険も仕方ないわよね」
しかし、その瞬間、壁から新たな音が聞こえてきた。それはゆっくりと、そして確実に近づいてくる音だった。