ラーンが巨大な石の扉を押すようにして開けた時、埃っぽい風が吹き出した。イシェは咳き込みながら、「またこの程度の遺跡か?」と呟いた。ラーンの顔は期待に満ち溢れていた。「いや、今回は違う感じがする!ほら、あの壁画、なんか禍々しい雰囲気だと思わないか?」
テルヘルは壁画をじっと見つめていた。「確かに奇妙な模様だ。ヴォルダンが欲しがっている遺物と関連があるかもしれない」と彼女は言った。イシェが「またヴォルダンか…」とため息をついたのに対し、ラーンは「そうか!テルヘルの言う通りだ!今回は大穴が見つかるかも!」と目を輝かせた。
彼らは遺跡の奥へと進んでいった。狭い通路を抜け、崩れかけた部屋にたどり着くと、そこには祭壇が置かれていた。祭壇の上には、奇妙な形状をした金属製の球体が鎮座していた。
「これだ!」テルヘルは球体を手に取り、目を輝かせた。「これはヴォルダンに渡せば、大きな情報源になるはずだ」彼女は球体を懐にしまい込んだ。イシェが「またヴォルダンか…」と呟くと、ラーンは「よし!これで今日の仕事は終わりだ!今日は酒を一杯飲もうぜ!」と言った。
帰り道、イシェはテルヘルに尋ねた。「あの球体、本当にヴォルダンに渡すつもりなの?」テルヘルは少しだけ躊躇したように答えた。「ええ、でも、もしかしたら…」彼女は言葉を濁した。イシェは何も言わずに歩き続けた。ラーンが酒を飲む姿を見ながら、イシェはどこか不安な気持ちを抱えていた。