ビレーの朝日は、いつもより少し早く、ラーンの目を覚ました。イシェがすでに準備を終えていた。今日はテルヘルから依頼を受けた遺跡だ。地図を広げると、複雑な通路と記号で埋め尽くされていた。
「今回は大物らしいぞ。テルヘルは珍しく金に余裕があるみたいだ」
ラーンの言葉に、イシェは眉をひそめた。「そんなことより、あの遺跡の噂は聞いたか?以前、調査隊が全滅したという話だ。何か危険な罠があるらしい」
「そんなこと気にすんな!俺が行くぞ!」
ラーンはいつものように意気揚々と剣を手に取った。イシェはため息をつきながら、準備を整えた。テルヘルはすでに遺跡の入り口で待っていた。
「今日は特に慎重に。あの遺跡には何かある」
テルヘルは冷めた目で言った。彼女の視線はどこか遠くを見つめていた。ラーンとイシェは互いに顔を見合わせた。いつもより重い空気を感じた。
遺跡の入り口は狭く、暗闇が漂っていた。一歩足を踏み入れると、湿った冷気が肌に張り付いた。ラーンの懐中電灯が壁を照らすと、奇妙な模様が浮かび上がった。イシェは背筋が寒くなるのを感じた。
深く進むにつれて、空気がさらに重くなっていった。彼らは数々の罠をかわし、謎めいた通路を進んでいった。そしてついに、大広間に出た。中央には巨大な石碑がそびえ立っていた。
「これが噂の…」
ラーンの言葉が途絶えた。石碑には複雑な文字が刻まれており、その中心には輝く宝石が埋め込まれていた。それは、まさに大穴だった。
その時、石碑から光が放たれ、部屋中に広がった。ラーンとイシェは目を細めた。そして、石碑の周りを囲むように、影が現れた。それは、黒く光る鎧を身につけた謎の戦士たちだった。
「これは…」
イシェの声が震えていた。テルヘルは剣を抜いた。
「準備だ!これは節目だ!」